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Petter Moree2020年7月6日

離れていても、一緒に働く

前回のブログ記事で説明したように、主な課題の一つは、COVID-19ウイルス用のワクチンを早急に生産するプロセスを開発することです。6月30日現在、178のワクチンと258の治療薬の開発が進んでいます。

大切なことは、プロセスを十分に理解することです。特に、ワクチンと治療薬の需要に応じた製造プロセスのスケールアップと技術移転を成功させるための知識の管理が大切です。重要材料属性(CMA)、重要プロセスパラメータ(CPP)、重要品質属性(CQA)や力価、製造時間、コストといった経済的属性に対するそれらの影響を完全に理解することが大切です。

医薬品開発はコラボレーションに大きく依存しています。コラボレーションは、COVID-19を乗り切る過程では社会的および物理的な距離要件の圧迫を受けることがあります。  プロセス開発から臨床試験、商品化まで、新製品のライフサイクルのあらゆる段階で協力することが重要です。

プロセス開発

リモートワークは増加しています。依然としてデジタルプラットフォームによってチームメンバー間の強力な社会的参加が維持できています。いくつかの資料によると、これら分野の従業員の25~75%は極力リモートワークをしています。

生成される膨大な量のデータはすべて、アクセス可能で信頼可能なものにできます。工場や研究所に毎日出向く必要はありません。どこからのアクセスであっても、強力なデータ整合性を実現します。実現にあたり、信頼できる情報源となる唯一のデータ保管庫を確立することが重要です。最初のステップはデータの統合です。2つ目のステップは、データモデルとコンテキストを必要とするデータから情報を生成できることです。例:

  • 1. 事業所の各種バッチとフェーズを探す機能を持つプロセスモデル。多くの場合、ISA S88/S95などの業界規格が使用されます。これは、データの整合性やバッチ記録、ゴールデンバッチといった分析などのコンプライアンスに不可欠です。
  • 2. 教育、SOP、メンテナンス管理、OEEといったKPIなど、プロセスライン全体を見渡すビューを構築するのに役立つ、設備およびシステムのモデル(よくデジタルツインと呼ばれる)。

Merckと Kristin O'Neillは、デジタルプラットフォームを構築することで複数のシステムおよびツールからのデータを組み合わせる機能のユースケースのプレゼンテーションをしました。このプラットフォームによって、コラボレーションや生産性を損なうことなくリモートからシステムを監視することができます。

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2016年Shire社(現在の武田薬品工業株式会社)は、プロセスR&D環境にあるばらばらのデータソースを、信頼できる唯一の情報源として一本化する機能の素晴らしいユースケースのプレゼンテーションを行ってくれました。この機能により、分析、データの整合性、およびパフォーマンスの向上を実現できます。

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一般に医薬品を市場に投入するには12年以上かかり、数十億ドルもの費用がかかります。この道のりにはいくつかの節目があります。その最大の目的は、短期間の間にできるだけ多くの人に安心安全な新薬を届けることです。

臨床試験

新製品の市場投入において費用がかかる段階の一つは臨床試験です。例えば、アストラゼネカ社はオックスフォード大学と提携しており、今後の第III相臨床試験に30,000名の被験者を見込んでいます。製品AZD1222の安全性と有効性の迅速な評価にあたり、物理的な距離を管理するのと同じ方法で、複数の場所にいる膨大な数の参加者を管理しようとしていると想像してみてください。大手CRO(臨床研究機関)Parexel社のユースケースのプレゼンテーションでは、患者を直接的かつ活発に追跡するという点で治験を改善し、被験者からデータを収集して、記録、分析、可視化などが行えるようにしています。

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Parexel社のこのデジタルトランスフォーメーションは研究過程を簡素化することになるでしょう。安全な新しい治療法では、意思決定をリアルタイムで協力して行えるようにすることで患者を迅速に評価できるようになり、段階的かつコストのかかる医薬品開発プロセスから無駄のない適応性のある手順に移行できます。データ収集からリスク緩和、縦割りの活動から顧客中心の活動、そして事後対応型から事前対応型へシフトすることで、臨床試験をより安全、より効率的な方法で実施できます。

常時接続の労働者の誕生

同様の技術が従業員のモニターにも利用されています。心拍数や体温、末梢酸素飽和度(SpO2)、呼吸数などをモニターできるよう、従業員にセンサーを装着してもらっている会社もあります。これは、デジタルトランスフォーメーションが機械やプロセスだけにとどまらず、そられを動かす人々にも広がっていることを示しています。

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商業生産と臨床生産

最後に、一つの傾向として、ワクチンを含む新製品の研究・開発を行っている革新的な企業はしばしばCDMO(受託開発製造機関)やCMO(受託製造機関)と提携しています。

mRNAプラットフォームを持つModerna社のような画期的なイノベーターは、世界トップレベルのCMO企業、Lonza社と提携しています。こうした提携は、年間10億回分の用量を販売できるようにして、5億人の需要を満たせるようにすることを目標としています。

これらの企業は、生産された材料を扱うModerna社やデータを供給するLonza社など、相互協力のための新しい道を模索しています。こうした重要なコラボレーションは、企業がさまざまなエンティティ間で重要なデータをシームレスに共有できるデジタル技術によって実現され、品質、透明性、コスト削減を確実にするのに役立ちます。

COVID-19パンデミックの中、私たちは分析や知識管理、リモートワーク、コラボレーションなどの分野でライフサイエンス業界に必要とされるデジタル技術の消費および活用の新しいあり方を目にしています。

治療薬やワクチンの開発に成功し、提供するのであれば、データのあり方は、私たちがこれまでに経験したことがないほどアクセスしやすくて、分かりやすく、信頼、共有できるものでなければなりません。

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Petter Moreeグローバル生命工学および食品・飲料産業担当主任 Petter Moreeは、グローバルな生命工学および食品・飲料産業の担当主任を務めています。計量化学およびデータ科学を専門とする工業化学の修士号を取得しています。
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